アパート融資の金融機関を選びを間違うとリカバリーに苦労します

不動産投資
Pixource / Pixabay

アパート経営を始めるにあたり、物件選びと並んで重要なのが金融機関選びです。

あなたが見つけたアパートに融資してくれる金融機関であるということも重要なのですが、借入金利には十分注意しましょう。

スポンサーリンク

高金利なアパートローンを選択すると

ここ数十年低金利が継続しているおかげで、住宅ローン金利も0%台に突入しています。

それに反してアパートローンは高金利を維持しています。

代表的なのはアパートローンをパッケージ商品として提供している「スルガ銀行」「静岡銀行」「三井住友トラストL&F」です。

これらの金融機関から借り入れを行うと、3%台後半から4.5%もの借入金利となります。

それでも十分キャッシュフローが出るから・・・と思って借入をしてしまうと次の点で苦労してしまいます。

追加融資が受けにくい

アパート経営で起業を目指すのであれば規模を拡大してく必要がありますが、高金利で借り入れをしてしまうと追加融資が受けにくくなってしまいます。

ある程度の期間をあけて次の物件を購入したいところですが、ローン残債があまり減らないのに比較して、建物の価値は順調に下がっていきます。

銀行が融資を判断する基準としては主に以下を見ています。

  1. 収益性が確保されているか
  2. 仮に収益が上がらなかった場合に何らかで担保されるか
  3. 事業に問題が発生した場合に融資の担保が取れるか

ローン残債が減らずに建物の価値が減っていくということは、債務超過に陥っているかもしれません。

その場合、上記の判断基準3で融資が実行されない可能性があります。

借り換えできない

アパートローンを提供している金融機関(特にスルガ銀行)は、全国への融資を可能としています。

首都圏に在住している人が北海道の物件を買えたりするわけでとても重宝します。

しかしながら、借り換えを考えた場合にはそれがネックになってしまいます。

金融機関は「物件所有者」と「物件所在地」両方の地域に支店がある場合に融資可能となります。

つまり北海道の物件に融資可能なのは、メガバンクか北海道系の地方銀行となります。

信用金庫や信用組合はその地域にしか存在しないため(一部例外もあります)、借り換え先の候補から外れてしまいます。

またこちらが一番重要なのですが、アパートローンを提供している金融機関と、プロパーローンでアパートに融資する金融機関では、物件に対しての融資判断条件がかなり異なります。

アパートローンでは融資可能であった物件が、プロパーローンでは融資できないということが多々あります。(耐用年数超過や物件の積算評価など)

そうなってしまうと、高金利のアパートローン以外の選択肢がなくなってしまいます。

売却できない

アパート経営は売却して利益が確定するとも言えます。

また、資産を拡大していくためには一旦現金化して、次の物件を買うという選択肢もあります。

そのためには売却時に利益が出る必要があるのですが、ローン残債が減らなければ売却しても利益が出ません。

また仮に出たとしても、ローン残債以上に減価償却が進み、相当な売却益となる可能性もあります。(売却時の利益計算はローン残債との差額ではなく、物件の減価償却後の簿価との差額になります)

その場合には売却益に税金が発生するのですが、ローン残債が大きく残っていた場合には、税金の支払いで売却損となってしまう可能性があります。

金利の威力を見てみましょう

では実際にどの程度の残債となるのでしょうか?

1億円を借りた場合で想定してみましょう。

  • 4.5%で30年借りた場合(支払総額:1億8,240万円、10年後のローン残債:7988万円)
  • 1.5%で20年借りた場合(支払総額:1億1,581万円、10年後のローン残債:5332万円)

金利の違いにより支払総額は6,700万円も変わってきます。

仮に融資期間が同じ30年だとしても支払総額は6,000万円もの差が出てきます。

 

しかしそれ以上に重要なのは10年後の残債の額です。

アパートは年数が経過するにつれて価値が減っていきます。

10年にもなると家賃も下がってきて、当初得られていたようなキャッシュフローが得られなくなっている可能性もあります。

特に新築で保有していた場合、当初5年間は家賃を維持できますが、新築プレミアムがなくなった瞬間に大幅な減額も考えなければいけません。

その時にキャッシュフローを上げようと考えた場合、繰上げ返済をおこなって元本を減らすか、一旦現金化して他の物件を買うかになります。

キャッシュフローを上げようと思うくらいですから繰上げ返済の案はないと思います。

となると売却ですが、1億円で買った物件が同程度で売れるかは入居状況や立地にもよります。

一般的には1年で1%の減額で考えますから、10年後には10%減の価格が見込まれます。

となると9,000万円での売却になります。

残債の8,000万円との差分は1,000万円ありますが、諸経費が10%ほどかかっているので、結果的には収支トントンになってしまう可能性が高いです。

また、売却益に対しての税金も必要ですので、トータルでマイナスになる可能性もあります。

仲介業者はアパートローンが好き?

アパート探しで仲介業者と接触が増えてくると気がつきますが、結構な頻度で高金利の金融機関を勧めてきます。

仲介業者より送られてくる資料にはレントロールと合わせて、ご丁寧に収支表(どのくらいキャッシュフローが残るか)も送られてきます。

その収支表を見ると、確かに月々のキャッシュフローは相当なものになっている物件がチラホラと送られてきます。

しかしながらキャッシュフローは融資年数を伸ばすことによって増やせるので、見た目は手残りがあるようですが、将来的な出口が狭まってきます。

最悪、そのローン残債が土地値になるまで売れなくなってしまう可能性もあるのです。

しかしながら仲介業者はアパートローンを熱心に勧めてきます。

アパートローン以外の金融機関からプロパーローンを受ける方法もありますが、仲介業者からするとアパートローンは審査がパッケージ化されており、進めやすいメリットがあるのです。

また、これらの金融機関は融資審査がプロパーローンの金融機関と比較して早い傾向があるので、他の業者との時間勝負に勝てる可能性が高いのです。

仲介業者はあなたが買うことによる仲介手数料が収入源ですので、どうしても融資付けを早く進めたいのです。

おわりに

アパート経営を始めるにあたっては最初が肝心です。

物件を買った時点で7割の勝負が決まってしまいます。

その後のリカバリーも可能ですが、かなりな労力と時間を要してしまいます。

そのようなことにならないよう、金融機関選びは慎重におこないたいものです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました