実際に収益物件を購入する場合、運営する上で問題ないのか、きちんと返済を行いつつ経費をまかなうことができるのかなど不安要素はたくさんあります。しかしそれをいつまでも悩んでいると他の投資家が素早く買付申込書を入れてきます。
昨今は投資物件も少なくなり競争が激化しています。競争に負けないため、客観的な投資判断をおこなうための各種指標を紹介します。
投資回収に関する指標
IRR(Internal Rate of Return:内部収益率)
投資効率を測る指標。投資してから回収するまでの実態の収益率を表す数値となります。計算するためにはいくつかの仮定が必要となります。
まず計算式は以下のとおりです。
0=C0+C1/(1+r)1+C2/(1+r)2 +C3/(1+r)3 …Cn/(1+r)n
ここでrが内部収益率を表し、C1,C2,C3はそれぞれの年に期待できるリターン、Cnは売却する年のリターンとなります。
例として3,000万円のマンションを購入し、賃料10万、管理費1万、20年後に2,000万円で売る場合のIRRを計算してみます。「何年後に」「いくらで」売却するかが仮定となります。
Cx = (10万 – 1万)× 12ヶ月
0= -3,000 + 108/(1+r)1 + 108/(1+r)2 + 108/(1+r)3 … (108+2,000)/(1+r)20
r = 2.26%
※ExcelのIRR関数で計算すると簡単に算出できます。
NPV(Net Present Value:正味現在価値)
投資対象が将来的に生み出すキャッシュフローを予測するための指標。
安全性に関する指標
DSCR(Debt Service Coverage Ratio:借入金の返済余裕度)
純利益(NOI)がローン年間返済総額(ADS)に対して何倍あるかを示しています。不動産が売買される場合には表面利回りでやり取りされる場合が多いですが、本当の収益を見る場合にはNOIを算出する必要があります。NOIを構成する要素は以下となります。
- 収益:年間家賃×(1-空室率)
- 費用:運営費(PM費、BM費)、修繕積立金、固都税、広告費
NOI=収益-費用
ただしNOIは年々低下していきます。しかしADSは繰上げ返済しない限り下がることはありません。したがってDSCRは年々低下することを見込んだ収益予想が必要です。
LTV(Life Time Value:ローン依存率)
不動産購入価格がどれくらい借入金に依存しているかを示します。不動産購入価格が借入金に依存している場合、金利上昇リスクに対しての耐性が低くなってしまいます。
まとめ
不動産投資をする場合にはこれらの指標を計算して客観的に判断するようにしていきましょう。
安全性に関する指標としてはDSCRが1.3以上、LTV80%以下。
ただしLTVが金利上昇リスクに対しての耐性を示しているのであれば、固定金利での借入を行うことによるリスクヘッジが可能です。その場合にはLTV80%以下にこだわらない投資も可能となるのではないでしょうか。
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