前回はアパート経営手法の一つであるワンルームマンション投資の一般的な資産拡大方法について解説しました。
前回の記事はこちら。
ワンルームマンション投資は少ない投資額で始めることができるため、不動産投資の初心者には人気ですが、運営していくにつれ利回りがそれほどではないことに気づきます。
しかしながら運営の手間は殆どかからないため、サラリーマンが副業として手がけるのには低リスクでよいのではないでしょうか。
空室リスク、家賃下落リスク、修繕リスク等を考えると、融資付けに苦労しない立地で平米数は狭めとなる、都内駅近のワンルームか1Kあたりであればあまり苦労せずに埋めていくことができます。
ワンルームマンション投資で資産拡大するには時間がかかる
ワンルームマンション投資を継続していくことで資産拡大を目指すのであれば、それなりの期間が必要となってきます。
資産拡大は家賃収入(インカム)を元に更に買い増しをしていくのですが、元々の利回りもそんなに大きくないため、増えるスピードはゆっくりとなります。
そのため、インカムのみではなく、本業の収入も併せて投資していくことで、ローリスク、ミドルリターンの投資法であるといえます。
レバレッジをかけて資産拡大スピードを上げる
そこで銀行からの借り入れをおこない、レバレッジを掛けることで資産増加スピードを調整することもできます。
一棟アパートを購入する場合はフルローンやオーバーローンとする場合がほとんどで、レバレッジとしては100%となりますが、ワンルームマンションであれば金額も低めですのである程度現金での購入も視野に入れることができます。
たとえばレバレッジ50%で考えた場合、1,500万円のマンションを2戸購入するのに現金が1,500万円、融資が1,500万円の合計3,000万円の投資となります。(その他諸経費なども必要ですが、説明を簡略化するために割愛します)
利回りが7%だとして、1,500万円のマンションからは年間105万円の家賃収入が得られることになります。現金購入だとするとそれは全て再投資可能な金額ですが、更に1,500万円の借り入れを2%、20年でおこなう想定の場合、借り入れの返済を除いて考えた場合はプラス15万円の収入が得られることになります。合計120万円を繰り上げ返済に充てることにより、借り入れのないマンションを増やしていくことができます。
返済が進んでいきローンの残債が33%になった頃に更に借り入れをおこない、同様に返済していくことで、資産の増加スピードを上げていくことができます。
その物件単体の家賃収入のみで返済していく場合はローンの残債が33%に到達するのに14年程度必要ですが、他のマンションの家賃収入で年間100万円、あなたの本業からの貯蓄を年間50万円、合計150万円も併せて返済していくと5年で到達することになります。
このように一棟アパートだとリスクが高くて不動産投資に踏み出せないが、レバレッジをコントロールすることによってリスクを少なくすることもできます。
繰り上げ返済するメリット
銀行から融資を受けることで高まるレバレッジ効果。
無制限には融資を受けれないので、どこかで頭打ちになります。
また、レバレッジが高すぎると破綻するリスクも高まります。
そこで繰り上げ返済を使ってレバレッジを調整します。
繰り上げ返済すると次のようなメリットがあります。
- キャッシュフローが増える
- 複利の力が使える
- リスクが下がる
キャッシュフローが増える
リスクを下げる・資産を増やす、どちらもカギとなるのがキャッシュフローです。
ワンルームマンション投資はロットが小さいので少ない資金で始める方が多数。
その分、始めたばかりの頃は資産が増える実感は乏しいもの。
ローンを完済したワンルームマンションであれば、家賃収入から多くのキャッシュフローが得られます。
そのためにも積極的に繰り上げ返済をして完済時期を早めましょう。
複利の力が使える
「複利」という言葉を聞いたことがあると思います。
長期で資産運用する場合には必須の考え方です。
元本から得られた利息を再投資(元本に加える)して資産の増加を加速する運用方法です。
ワンルームマンション投資でも複利を使うことが可能です。
それが繰り上げ返済です。
月々の家賃収入で得られるキャッシュフロー。
突発的に発生する修繕費などに充てる原資ですが、ある一定金額以上は必要ありません。
余裕資金は繰り上げ返済の原資に使うことで有効活用しましょう。
繰り上げ返済することで最終的に支払う利子が少なくなり、少ないコストでレバレッジを活用できるのです。
リスクが下がる
ローンを使って不動産投資をすると、自己資金以上の投資が可能となるので収益性がアップします。
それと同時に次のリスクも高まります。
- 金利上昇リスク
- 空室リスク
- 修繕リスク
これらのリスクはローンの比率(借入比率)が多いほど大きくなります。
借入比率が100%だと不動産投資の収益は最大化されますが、手持ち資金が少ないと事業が破綻する可能性も高まります。
破綻しないためには適度な借入比率を保つ必要があります。
その調整を繰り上げ返済でおこなうのです。
出口戦略
ワンルームマンションの出口戦略は次の2つ。
- 長期保有
- 売却
長期保有で収益を最大化
不動産投資はインカム(家賃収入)で稼ぐのが王道。
できるだけ長く保有することで儲けが最大化します。
家賃収入でローンを返し、不動産を自分のものにしていきます。
とはいえ、いつまでも持ち続けることはできません。
ワンルームマンションの耐用年数は47年。
建物はそれ以上の期間にわたって使えるのですが、銀行からの融資が難しくなります。
そうなると売却する相手は現金を持っている人に限られてしまいます。
必然的に売値も下がってしまうので、銀行融資が使えるうちに売却しておきたいところ。
売却のタイミング
ポイントはいつ売却すればいいのかということですが、条件としては次の3つです。
- 譲渡所得が20%になる5年後
- 銀行融資が使える築30年前
- 不動産価格が高い時
1、2に関しては明らかなので売り時を逃すことはありません。
問題は3の不動産価格が高い時がいつなのかです。
不動産価格は景気と連動しているので、景気がいい時は価格は高め。
さらに銀行融資が出やすい時期も同様に高い価格で売れています。
しかしそれがいつなのかは実際のところ分かりません。
そこで売却する価格をあらかじめ決めておくとタイミングを逃すことがなくなります。
購入金額より10%上回れば投資として成功、20%を上回れば投資としては大成功と言えます。
タイミングを逃さないよう、常に売却価格は知っておきましょう。
まとめ
ワンルームマンション投資は一棟アパート投資に比べて低いリスクで始めることができます。
銀行融資と組み合わせてレバレッジをコントロールすることで、自分の許容できる範囲で投資を実行することも可能です。
また、売却も視野に入れて購入することで、タイミングよく売却することができると資産の増加スピードを更に加速することができるでしょう。
反面気をつけなければならないこととして、ワンルームマンションは金融機関が評価する場合の資産価値はほとんどありません。借り入れはあなたの与信内(サラリーマンの年収や資産背景)でおこなわれるため、ワンルームマンションを担保にしての借り入れはおこなえません。
したがって、途中で一棟アパート投資へシフトしようとして融資を引き出そうとすると、ワンルームマンションで借り入れている融資額も参入され、思うように融資が受けられなくなってしまいますのでご注意ください。
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