アパート経営と相性の良い事業にはいくつかあります。たとえば、以下のようなものがあります。
- 太陽光発電
- 自動販売機の設置
- 携帯電話基地局の設置
- 空き地の時間貸し
特に太陽光発電は設置したあとほぼメンテナンスフリーで収益があがるので人気の事業でした。
しかし近年は固定買取価格の低下で設置を見送る人も多数出ています
確かに固定買取価格も以前に比べると30%程度にまで下がっており旨味も少なくなりました。
そこでこの記事では、アパートに太陽光発電を設置する時にコストダウンを図り、収益性を高めるためにできることをご紹介していきます。
利回りアップに必要なこと
利回りアップにはコストダウンが重要です。
太陽光発電そのものだけでなく、アパートにかかる費用も考えることで、総合的にコストダウンを考えてみましょう。
設備コストのダウン
通常、野立て太陽光の利回りは10%前後が平均的な相場です。
これを基準として、アパートに設置した場合はどのくらい利益を上げられるかが大事なポイントとなります。
大手の業者にお願いするとなぜか10%前後で出てくることが多く、安心感はあるものの利回りはイマイチという感じがします。
一方で、相見積もりで安い業者を見つけると15%の利回りになることもあります。
大手という安心感だけではなく、利回りをしっかりと比較して業者選びをすることが重要です。
減価償却費をうまく使う
アパート経営においては、税金の支払いをいかに抑えられるかが全体的な収益アップにつながります。
そこでポイントとなるのが減価償却費です。
数年前まで太陽光発電を導入すると減価償却費の即時償却(全額を費用に計上できる)が使えました。
しかし年々優遇措置は縮小され、現在では耐用年数にしたがって減価償却するしかありません。
それでも17年で費用を計上できるので、
- キャッシュに余裕のある人
- 新たにローンを組める人
には有利な投資に変わりありません。
アパートの構造、耐用年数にも注意して利回りを計算する
太陽光発電の収益を計算するときには利回りだけを考えがちですが、その収入を何年間維持できるかも重要です。
太陽光発電の固定買取期間は20年なので、この期間内は確実に収益をあげられます。
しかしアパートに太陽光発電を導入する場合、アパート自体の耐用年数も気にしなければなりません。
太陽光発電の固定買取期間が20年あったとしても、そのアパートが残り10年しか稼働できなければ太陽光発電も10年間しか収益をあげられないからです。
設備コストダウンに必要なこととは?
太陽光発電を導入する際のコストで最も大きいものは設備設置費用です。
どのようにすればこのコストを下げられるかを見ていきましょう。
できるだけ多くのパネルを載せる
太陽光発電は設置するパネルが多いほど収益は高まります。
パネルの数が増えたとしても、工事費用はあまり増えないからです。
そのためパネルの取り付け枚数を増やせるような設計が重要になります。
同一面積でも業者によって載せてくるパネル枚数は異なります。
複数の業者に設計を依頼し、効率よくパネルを配置する業者を選択しましょう
架台、工事費は業者によってバラバラ
以前と比べ、太陽光パネルの価格は急激に低下しています。
それに比べると架台と工事費はそこまで下がっていません。
そのため総費用の4割程度を架台と工事費が占めるようになっています。
その架台と工事費も業者により大きな開きがあります。
本来パネルの数によって架台と工事費が大きく違うことはありませんが、業者の効率や利益率の違いよって金額が異なります。
相見積もりで安い業者を見つける
基本的に太陽光パネルの品質はどの業者、メーカーでも大きな違いはありません。
ポイントは「きちんと工事ができるか」「設置後の保証が十分か」でしょう。
依頼した業者がきちんと工事できるかを見極めるのは難しいとも言えます。
これまでの工事実績から判断したいところですが、そのような情報が見られるのは大手に限られてしまうためです。
かといって大手だとコストが高め。
そうなると設置後の保証で判断するしかないでしょう。
具体的には屋根からの雨漏り、パネルの脱落・故障などが生じた時の保証です。
無償ですぐに修理対応をしてくれるかなどがポイントとなります。
太陽光発電装置の減価償却
税金対策を考える上では減価償却費が重要なポイントです。
昔と今では太陽光発電についての税制が変わっていますので、最新の情報をチェックして対策をすることが求められます。
以前は大きな減価償却費が計上できた
太陽光発電が普及し始めたころは全量売電100%の即時償却ができ、かなり税制上のメリットがありました。
しかし普及が進むにつれて全量売電での特例措置はなくなり、現在では即時償却ではなく普通に減価償却をしなければなりません。
単年度で償却できなくなり、一定期間にわたって経費を計上していくのです。
償却期間は法定耐用年数の17年
太陽光発電の減価償却は法定耐用年数である17年です。
規定の方法でこの期間全体にわたって償却をしていき、所得から差し引きます。
具体的な償却方法は2つあり、ケースによってお得になる償却方法が異なります。
長期間に及ぶことなので、自分にとってどちらが節税になるのかを前もって検討しましょう。
償却方法は「定率法」か「定額法」かの2つ
償却方法は「定率法」か「定額法」の2つです。
1つ目の方法である「定率法」は初めに大きく節税できるというメリットがあります。
そのため導入初年度に大きな所得があるケースではこちらの方がお得です。
2つ目の方法である「定額法」は毎年同じ額を償却します。
長期に渡って費用を計上できるので、安定的に所得があるケースで有利です。
アパートの耐用年数と固定買取期間の関係
アパート向けの太陽光発電は建物の屋根にパネルを設置します。
そのため、アパートの耐用年数が来て建て替えになってしまうと、パネルの移転工事が必要になります。
しかし固定買取期間が終わる前でのアパート建て替えは避けたいものです。
余分な費用がかかり、当初想定した収益を達成できません。
こうしたことを考慮して、固定買取価格の期間がアパートの耐用年数に収まるようにすることが重要です。
20年がポイント
太陽光発電の固定買取価格の期間は一般的に20年です。
20年間は売電料金が変わらないので予測が立てやすい投資といえます。
ただしそれも20年間太陽光パネルを設置し続けられることが条件です。
アパートの耐用年数はどうでしょう?
法定耐用年数は木造だと22年、鉄筋コンクリートだと47年。
しかし実際に使える期間として考えた場合はさらに10年程度は見込めます。
太陽光パネルを設置する建物の残存耐用年数を確認し、確実に20年間は売電できる期間を確保しましょう。
木造・鉄骨造・RC構造の中で太陽光発電に最適なアパートは?
アパートにおいて、太陽光パネルを多く設置できるのは陸屋根、つまり勾配のない平らな形状の屋根です。
陸屋根のアパートだと鉄骨造かRC造ということになります。
また耐用年数の面から考えても木造は不利なので、鉄骨造かRC造を狙いたいところ。
しかし鉄骨造やRC造は建設コストが高いというデメリットがあります。
ただ太陽光発電のためだけに鉄骨造やRC造にするのは割が合いません。
建設費用とのバランスも考えて検討しましょう。
まとめ
アパート用太陽光発電は固定買取制度(FIT)のおかげで非常に見とおしの立てやすい投資と言えます。
設備投資のために必要なコストをもとに、買取金額と買取期間で収益を予測すればいいからです。
そのため収益性を向上させるには、いかに効率よくパネルを設置するか、節税効果が高い償却方法を使えるかにかかっています。
事前にじっくりと計算して決定するようにしましょう。
これからFIT制度は廃止されると言われていますが、まだまだ使える制度です。
しっかりとした調査のもと検討してみましょう。
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