これまで太陽光発電の導入に関して紹介していますが、今回はパワーコンディショナーについて解説します。
パワーコンディショナーの役割
パワーコンディショナー(パワコン)は、太陽光パネルで集めた電力を電力会社の送電線へ送電するために、電流を変換する装置です。
太陽光パネルで発生した電力は直流ですが、送電線へ送るためには交流へ変換しなければなりません。そのためパワコンで電流の変換をおこないます。
パワコンは一つあたりの容量に上限があり、大容量の発電所を建設するためには複数のパワコンを設置することになります。
効率的に出力アップする方法
以前は「太陽光パネルの容量 = パワコンの容量」でしたが、現在は太陽光パネルの価格が安くなったことでパワコンの価格がボトルネックとなっています。
そこで「太陽光パネルの容量 〉パワコンの容量」といういわゆる過積載という方式が主流になっています。
過積載とは?
パワコン以上の電力は電力会社へ送電することはできないため無駄になるのでは?と思いますが、太陽光パネルが最大出力になるタイミングはお昼などの太陽が一番あたる時間帯のみで、ほとんどの時間帯は最大出力以下で発電しています。
そこで出力の余っている時間帯でもパワコンを有効利用するために、太陽光パネルをパワコンの出力以上に設置するというものです。
太陽光パネルが最大出力で発電した場合、パワコンの出力以上の電気はパワコンで破棄され無駄になりますが、その他の時間帯での出力増加が見込まれるため、トータルとしての発電効率はよくなることが期待できます。
保証について
パワコンの容量以上に太陽光パネルから電力を入力してしまうと、メーカー保証の対象外となってしまうのではないか?との懸念があります。
しかしながらメーカー側もそこはしっかり対応していて、過積載でも全く問題なく保証してくれるオムロンのようなメーカーもあります。
しかも現在は売電価格が21円/kWhとなっているため、設備投資もできるだけ効率化しなければ投資として成立しません。
それもあって今後は過積載が主流になってくると想定され、メーカー側も対応をしてきています。
これまでは定格出力に対して太陽光パネルの出力が130%くらいのものが多かったのですが、現在は170%のものも見られます。今後はさらに200%超えなども出てくることでしょう。
しかしながら増やせばよいというものでもなく、太陽光パネルの価格とパワコンの価格、ピーク発電量の関係を考えつつ調整していく必要があります。
蓄電池の活用
更に効率を上げる手段として蓄電池を活用する方法があります。
パワコンに対して太陽光パネルを過積載した場合、ピーク時の電力が捨てられてしまいます。
その電力を捨てるのではなく、蓄電池に一旦貯め、ピークを過ぎた後にパワコンをとおして売電することで、無駄な電力を削減することができます。
ただし蓄電池システム自体の価格がまだまだ下がってきていないので、投資として成立するためにはちょっとした工夫が必要です。
それは既存の発電所への増設です。
現在の売電価格は21円/kWhですが、以前に設置した発電所では40円/kWhで売電できている発電所もあります。
ただし一旦発電所を建設し設備認定を受けたあとに出力を変更する場合は、売電価格も現在の基準へ変更されていまします。
そこで設備認定を受けた出力を変更せずに太陽光パネルと蓄電池を増設し、昼間に発電した電力を蓄電池へ蓄積し、ピーク後に徐々に売電していくことで収益を上げることができます。
既設の発電所を持っている場合に有効な投資となりますので、検討する価値はあるのではないでしょうか。
設置場所に関しての注意事項
パワコンの設置場所についても注意が必要です。太陽光パネルとパワコンのあいだは直流で電気が流れますが、パワコンから送電端(電力会社との接続箇所)は交流となります。
電力のロスは交流の方が大きいため、パワコンと送電端はできるだけ近くに設置することで電気のロスを少なくすることができます。
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