この記事では、中古木造アパートを減価償却目的で購入するが
- 減価償却費の計算方法が知りたい
- 減価償却が多く取れる物件の買い方があれば知りたい
という方に向けた疑問について答えます。
この記事を書いている私は現在中古アパートを5棟運営中。
法人と個人で購入し、それぞれ税理士に決算処理をお願いしています。
その経験を踏まえて、どうすれば節税になる減価償却ができるのかを解説していきます。
中古木造アパートの減価償却は耐用年数と償却資産額で決まる
毎年の減価償却額は次の式で計算します。
毎年の減価償却額 = 減価償却する資産額 ÷ 耐用年数
減価償却する資産額は購入した代金、
耐用年数は法定耐用年数で決まります。
中古の場合は残りの耐用年数を元に計算します。
耐用年数を求める
新築の場合は簡単で、法定耐用年数(22年)=耐用年数となるのですが、
中古の場合は一般的には簡便法で計算します。
【法定耐用年数以内】
耐用年数 = 法定耐用年数-経過年数+経過年数×20%
例えば、築10年の中古木造アパートを購入した場合の耐用年数は次のとおり
22年-10年+10年×20% = 12年+2年 = 14年(耐用年数)
また、法定耐用年数を超過している場合は次の計算式で求めます。
【法定耐用年数を超過】
耐用年数 = 法定耐用年数×20%
したがって、法定耐用年数を超過した中古木造アパートを購入した場合、
22年×20%=4年(端数切り捨て)が耐用年数になります。
減価償却する資産額を求める
次に減価償却する資産額を求めます。
アパートを減価償却する場合、償却資産となるのは一部です。
アパートの資産を構成するのは
- 土地
- 建物
- 建物附属設備
です。
この中で、土地だけは減価償却できません。
なぜ土地が償却できないのかというと、
- 建物は徐々に劣化していくので使えなくなる
- 土地はいくら使用しても劣化して使えなくなることはない
というのが理由です。
したがって、建物及び建物附属設備の代金が減価償却する資産額になります。
アパートを購入した時の売買契約書には土地代金と建物代金が分けて記載されています。
その建物代金が建物と建物附属設備の金額に該当します。
更に建物と建物附属設備を分ける方法は別記事を参考にしてください。
中古木造アパートの減価償却を多くするには建物価格を大きくする
これまで見てきたように、毎年の減価償却を多くするには、
- 耐用年数を短く
- 減価償却する資産額を大きく
する必要がありました。
耐用年数については残りの耐用年数で決まるので調整の余地はありませんが、
減価償却する資産額は調整の余地があります。
- 売買契約書の建物価格を調整する
- 合理的な計算方法で建物価格を求める
それぞれ解説していきます。
売買契約書の建物価格を調整する
売買契約書の土地代金と建物代金の決め方は、売主と買主の合意で決まります。
買主は減価償却する資産額を大きくするために建物価格を大きくしようと考えます。
しかし売主としては建物価格は小さい方がよいのです。
なぜかと言うと、アパートを売った場合、売主は消費税を納税する必要があります。(課税事業者の場合)
消費税は建物代金のみにかかるため、できるだけ建物価格を小さくしようと考えます。
売主が課税事業者でなければ建物価格は比較的こちらの希望額で記載してもらえることもありますが、課税事業者の場合はなかなか折り合えません。
そのため、土地代金と建物代金は空欄で、売買代金総額のみ記載されることも多々あります。
合理的な計算方法で建物価格を求める
土地代金と建物代金が記載されない場合、合理的な計算方法で建物価格を求める必要があります。
その計算方法として一般的にとられているのが固定資産税評価額での按分です。
アパートを所有していると固定資産税を納付しなければなりませんが、納税額は固定資産税評価額を元に決められています。
土地、建物それぞれに固定資産税評価額が決められているので、それと同じ比率で売買代金総額を按分する方法です。
実はその他にも按分方法があります。
- 再調達原価による按分
- 相続税評価額による按分
これらを比較して、合理的と考える方法で按分することで、建物価格を求めることができます。
按分についての詳しい解説は別記事を参考にしてください。
中古木造アパートの減価償却は節税に最適
中古木造アパートは維持費が安いということもあり、満室で運営できるとキャッシュフローが改善します。
また、耐用年数が短いと毎年の減価償却を大きくできるので、節税目的で購入するのにも最適です。
しかし節税目的で購入するのであれば建物価格が重要になります。
売主と交渉して建物価格を大きくできるのが一番確実ですが、それが無理だとしても合理的な理由で建物価格を按分することで目的を達成できます。
税務署から否認されないよう、しっかり理論武装しておきましょう。
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