投資対象として人気のワンルームマンション投資をするときに悩むのが、その価格です。
安いのか、高いのか、買って問題なく運営できるのかを考えると、適正価格を把握するのは簡単ではありません。
この記事ではそのような価格に関する悩みについて、投資判断に迷わない適正価格の求め方をご紹介していきます。
ワンルームマンションは3つの価格で考える
投資用のワンルームマンションを買う場合、3つの価格の考え方があります。
- ワンルームマンション投資物件購入時に銀行が判断する「担保価値」
- ワンルームマンション投資物件購入後に安全に運営できるかを判断する「収益性」
- ワンルームマンション投資物件売却時に損なく売れるかを判断する「売却予想価格」
この3つの価格を把握して投資判断することが求められるのです。
【担保価値】ワンルームマンションの最低価格を知る
その不動産を担保にした時、どの程度の金額まで融資が可能かという価格が担保価値です。
ワンルームマンションはローンで購入する方が多いでしょうから、非常に重要な価格であると言えます。
積算価格の求め方
ワンルームマンション投資の担保価値を求めるには積算価格が必要です。
積算価格とはその不動産の価値を積み上げで計算する方法で、土地は「相続税評価額」、建物は「再調達原価」から求めます。
ワンルームマンションの場合、土地の持ち分が少ないので土地の評価額はほとんどなく、建物の評価額であらわされます。
ワンルームマンション投資物件の積算価格は次のような数式で求めます。
ワンルームマンションは鉄筋コンクリートなので、標準建築費を20万円、法定耐用年数を47年で計算します。
詳しくは次の記事も参考にしてください。
積算価格はワンルームマンション投資を検討する時に求めておきたい数値の一つです。
というのも、不動産としてのワンルームマンション投資価値を評価する方法で、担保価値を計算する基礎になるからです。
銀行が判断する担保価値
ワンルームマンション投資物件の購入を検討するに当たって、銀行が考える担保価値を考慮することはとても大事です。というのも、ある意味で、投資のプロである銀行が価値を判定してくれることになるのです。
銀行は積算価格を元に担保価値を求めますが、積算価格=担保価値ではなく積算価格の8割程度で評価されます。
銀行が設定する担保価値は市場価値とも等しくなく、最低限でもこれくらいの金額だと必ず売却できるであろうという金額です。
しかし融資対象のワンルームマンションに十分な担保価値がないからといって、融資されないわけではありません。というのも、銀行は融資を決めるにあたって、申込者自身の収益や資産も考慮するからです。
たとえワンルームマンション投資物件自体の担保価値がそう大きくないとしても、他の資産やキャッシュ、収入源で十分に支払い可能であると判断できれば融資をしてくれることがほとんどです。
【収益性】そのワンルームマンションからどのくらいの収益が得られるのか
ワンルームマンションを投資用不動産として購入するのであれば、自分が住むためのワンルームマンションとしての判断とは違う考え方をしないといけません。
ポイントとなるのは、購入価格が高いか安いかではなく、キャッシュをもたらすかどうかということです。
そして許容できるリスクの範囲内で投資ができるかという点も考慮すべきです。
実質利回り
ワンルームマンション投資の収益性は実質利回りで考えます。実質利回りとは家賃などの収入から経費を引いたものです。
必要な経費を見積もると本当の手残りが分かるので、より現実的な収益性を見ることができます。
具体的な経費としては次のようなものです。
- 管理費
- 修繕積立金
- 固定資産税
- 入居者管理費用
築年数が古くなるほど設備が故障することも多くなり、収益性が悪化します。
そのため実質利回りを計算する時には、どれだけ築年数が経っているかということも考慮に入れる必要があります。
また空室率も実質利回りに関係してきます。
価格が安いとしても入居がなかなか見込めないようでは収益性も低下してしまいます。
DCR(債権回収比率)
DCRとは投資不動産からどのくらいの収益を上げられるかを具体的な数字で確認できる方法です。
計算方法は、
となります。
これによりローンの支払いから見たキャッシュの創出度合いを知ることができます。
DCRが1だと実際の手残りとローン返済額が同額で、自身の収入(キャッシュフロー)はゼロです。
ワンルームマンション投資では突発的な出費もあるので、リスクを抑えた投資を考えるのであれば1.3以上は欲しいところです。これは投資をする前に計算して予測しておきましょう。
【売却予想価格】ワンルームマンション投資の出口を考える
投資用に購入したワンルームマンションはいつかは売却し利益を確定させるもの。
実際どのくらいの価格で売れるのか、そしてどのくらいの価格で売ればよいのかを把握しておきましょう。
市場価格を把握
実際の市場で取引されている相場を確認しましょう。
具体的には、SUUMOやHOMESなどの不動産売買サイトで近隣の物件と比較するのが一般的です。
不動産価格はエリアによる差が大きいので、地域別の価格をチェックします。
その後、築年数やマンション規模、設備の内容を見て、購入を考えている物件に近いものを探します。
売却時は経過年数相応に価格が下がる
売却予想価格は、現在の不動産価値に価格下落率を加味する必要があります。
一部例外もありますが、築年数が経つごとに価格が下がってしまうからです。
全体的な傾向としては新築から築10年までは下落幅が大きく3割〜4割程度、それ以降は年1%程度の下落となります。
築20年を超えるくらいから価格変動は少なくなり、立地によっては上昇することもあります。
ローン残債と売却時の価格を予想して判断する
ワンルームマンション売却時には残っているローンを一括で返済しなければなりません。そのためワンルームマンションの売却金額がローン残額に満たない場合、別途現金を準備するか、別のローンへの借り換えが必要になります。
そこで次の金額を保有年数ごとに計算しておくことをおすすめします。
- ローン残額
- 売却予想金額
- 売却時の税金、諸経費
予想利益の計算式は次のとおりです。
予想利益がマイナスになるタイミングで売却する場合には、その分の現金が必要になるということが分かります。
いつ・どの程度の現金をプールしておけばよいかが明確になり、安心感にもつながります。
まとめ
ワンルームマンションの売却価格は、売主のローン残額との兼ね合いで値付けされていることも多いのが現実です。ローン残額が大きい場合は、相場より高い金額が提示されていることもあるのです。
そのため適正な価格を把握し、
- 投資する価値があるのか
- 安全にキャッシュを得られるのか
- 売却で利益が残るのか
を検証した上で購入価格(指値)を決めましょう。
これまで紹介してきた、
- ワンルームマンション投資物件購入時に銀行が判断する「担保価値」
- ワンルームマンション投資物件購入後に安全に運営できるかを判断する「収益性」
- ワンルームマンション投資物件売却時に損なく売れるかを判断する「売却予想価格」
それぞれの価格を把握しておけば、判断に悩むことは少なくなるでしょう。
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