「ワンルームマンション投資は頭金なしでもできる!」
などの宣伝文句があるとおり、不動産投資のなかでは比較的取り組みやすいワンルームマンション投資。
たしかに頭金がなくても始められるのですが、リスクを把握しなければ儲けがなくなってしまいます。
この記事では、
- 頭金なしでワンルームマンション投資をはじめた場合のリスク
- 頭金がある場合のワンルームマンション投資との比較
- 頭金なしでワンルームマンション投資を成功させるためのポイント
についてご紹介していきます。
頭金なしではじめられるワンルームマンション投資
不動産投資の中でも取り組みやすいワンルームマンション投資。
1棟アパートやマンションなどの大規模な物件では頭金がそれなりに必要ですが、ワンルームマンション投資であれば頭金なしでもはじめられます。
どうやって頭金なしではじめるのか?
ワンルームマンションは物件価格が安いのでフルローンが出やすいという特徴があります。
不動産に対して銀行が融資する場合、
- 収益還元評価
- 積算評価
をもとにして担保価値を決めます。
それにその人の属性(収入額や勤続年数、勤めている会社の信用)が加味されて最終的な融資額が決まるのです。
ワンルームマンションは一般的に収益還元評価や積算評価が低め。
それは不動産と言っても建物部分が多いので担保価値が低いことが要因です。
このままだとフルローンは出ず、頭金が2割~3割ほど必要になってしまいます。
しかしワンルームマンションは価格が低いものも多いので、借り手の属性を使ってフルローンが出やすいのです。
さらに不動産仲介会社と提携している金融機関であれば審査にも通りやすいでしょう。
低金利の今こそ融資の力を使う
ワンルームマンションは1棟アパートに比べて低価格で、500万円で買える物件もあります。
そのため、借金のリスクを抱えたくない人は現金で買おうと考えるでしょう。
しかしちょっと待ってください。
ほんとうに借金はリスクが高いのでしょうか?
車や住宅ローン、リボ払いなど、消費にともなう借金は自分の稼ぎで返さなければいけません。
そのため、自分の収入が頼りです。
収入が途絶えると払えなくなってしまいます。
しかし不動産のローンはそれらとは意味が違います。
不動産という資産の購入であり、消費に伴う支出ではありません。
不動産から得られる収益で借金を返すので、自分の収入をあてにする必要はありません。
きちんと不動産を運営できれば家賃収入だけで自分の資産を築けるのです。
例として利回り10%の不動産から得られる収入を考えてみましょう。
100万円の資金で不動産を現金購入した場合、得られる収入は年間10万円。
経費などを考えると実質の所得は8万円程でしょう。
しかし頭金を100万円、融資900万円で1,000万円の不動産を購入した場合、得られる収入は10倍の100万円です。
その中からローンの返済が必要ですが、それでも40万円程度は所得として残ります。
融資を使わない場合と比べると収益性(投資額に対するリターン)は5倍以上。
このような資産運用を「レバレッジ効果」と言い、借金で資産を生み出す効果的な手法です。
しかも今は史上まれに見る低金利。
このようなチャンスを逃す手はありません。
こんな人は融資がつかない
ワンルームマンションなどの不動産は比較的融資が付きやすいという特徴があります。
しかしそれでも融資が難しい場合もあります。
次のような場合です。
- その人の年収が極端に低い
- 勤続年数が短い
- 非正規の雇用である
- 既に他のローン(車や住宅)を利用している
- ローンの滞納歴がある
不動産の担保価値が不足する場合は借りる人の属性で補います。
しかしその人自身の属性が低い場合は融資額に届きません。
年収が低い、勤続年数が短い、正社員ではないなど、銀行は収入が安定しないと思われる人には貸しません。
また、その人への融資総額にはあらかじめ上限があるので、すでに他のローンがある場合はその分がマイナスされます。
最悪はローンの滞納歴です。
金融機関はローンの返済を滞らせたことがある人には絶対に融資しません。
毎月のクレジットカード利用の返済についても同様のことが言えるので注意が必要です。
頭金なしのリスク
頭金がなくてもフルローンでワンルームマンションの購入はできます。
しかし手軽に購入できる物件だからこそ、どのようなリスクがあるかを十分に理解しておかなければなりません。
どのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。
キャッシュフローが出にくい
頭金を入れない場合、キャッシュフローは出にくくなります。
キャッシュフローは次のように計算できます。
頭金を入れないとその分融資額が大きくなり、ローン返済額も増えます。
そのため、頭金を入れる場合に比べるとキャッシュフローが出にくくなるのです。
ローン残債が減りにくい
頭金なしでワンルームマンションを購入する時のもう一つのリスクとして「ローン残債が減りにくい」こと。
キャッシュフローはローン返済額が大きくなると少なくなります。
そのため頭金を入れないワンルームマンション投資だとキャッシュフローがあまり期待できません。
そのような状況でもキャッシュフローを得るには返済期間を長くします。
しかしこの方法にもリスクが。
返済期間を長くすると毎月の返済額は減ります。
しかしローンの元本がなかなか減りません。
そうなるとワンルームマンションを売ろうとしたときに問題が起こります。
売却金額がローン残債を下回ってしまい、売ろうにも売れなくなってしまうことがあるためです。
結局、頭金は必要?
ワンルームマンション投資は頭金なしでも可能です。
資金をできるだけ融資で調達する、そうすることによって収益性が高まります。
しかし頭金を入れないことによるリスクも考えなければいけません。
「キャッシュフローが出にくい」「売却時にローン残債が減っていない」など。
しかしどちらも現金を持っていれば解決できる問題です。
キャッシュフローが出にくくても現金があれば突発的な出費にも耐えられます。
売却時にローン残債が減っていなくても現金があれば補填して売却できます。
要するに現金を「頭金として使う」か「いざという時の予備費として確保しておくか」の違いではないでしょうか。
頭金を入れる・入れないが問題なのではなく、リスクに対応できる現金を持っていて、どのように活用するのかを考えなければなりません。
私の考えとしては「できるだけ融資を使い、現金は手元に持っておく」です。
すぐに利用できる現金を持っていると銀行からの評価が高まります。
そうなると次の物件を購入するときに融資が受けやすくなり、金利も低くなるという効果が期待できるからです。
頭金なしでも成功するワンルームマンション投資の方法
頭金なしで始められるワンルームマンション投資。
しかし簡単に始められることと成功することは同義ではありません。
どうやれば成功できるのでしょうか。
そのポイントをご紹介していきます。
相場並か、相場より安い価格で仕入れる
不動産投資は買った時点で成功率が7割がた決まります。
それだけ物件価格が成功のカギなのです。
不動産業者は、
- 利回りのいい物件が出ました
- 未公開物件をあなただけに紹介しますよ
- この物件であれば空室の心配はありませんよ
などなど、耳障りのいい言葉を並べてあなたに買ってもらおうと必死です。
不動産投資が初めての人は、プロである(と思っている)不動産業者が言っていることであれば正しいのではないかと思ってしまいます。
しかし待ってください。
不動産業者は売ることで儲けを出します。
売ってしまった後のことについては一切関与しません。
結局薦めてくるのは不動産業者が売りやすい物件なのです。
自分にとってほんとうにいい物件を買うには、
- 周辺の売り出し価格を調べる
- 周辺の家賃相場を調べる
- 妥当な価格で指値をする
ということをしなければならないのです。
キャッシュフローがプラスになる
ワンルームマンション投資の宣伝文句として、キャッシュフローがマイナスでも
- 生命保険代わりになる
- ローンを返し終わると自分年金になる
などと言う不動産業者もいます。
しかしはっきり言ってキャッシュフローがマイナスで良いことは何もありません。
まれにマイナスで買っていい物件もありますが、高級マンションのような資産価値が長期間維持されるような物件に限られます。
これから不動産投資で資産を増やしていこうと考えている方であれば、資産価値を維持するよりも収益を最大化することを優先するでしょう。
結果的にキャッシュフローがプラスであることは必須の条件なのです。
いざというときのキャッシュを蓄えておく
ワンルームマンション投資の家賃収入は比較的安定して入ってきます。
一度入居してしまうと数年は動きがありません。
その点、リスクの少ない事業と言えるでしょう。
しかし突発的な出費もあります。
設備の故障、退去に伴う修繕、募集にかかる費用など、これらは予測できないタイミングで発生します。
そのような場合に備え、普段得られるキャッシュフローは蓄えておくべきです。
ワンルームマンション1部屋で数万円のキャッシュフローが期待できますが、自分のお小遣いとして使うのはいただけません。
資産から得られるキャッシュフローは再投資が原則だからです。
貯まったキャッシュフローは突発的な出費に備えるリスクヘッジにとどまらず、繰り上げ返済や次の投資の頭金にもなるでしょう。
規模を追求する
ワンルームマンション投資は1室ごとの購入なので、リスク分散が難しいという特性があります。
空室になってしまうと家賃収入が途絶え、貯金や他の収入源からローンを返済しなければならなくなります。
それに対して複数部屋持っていると、
- 空室になっても他の部屋の家賃収入でカバーできる
- 資産の入れ替え(売却、購入)が容易になる
- 事業としての評価が高まる
などのメリットがあります。
もちろんローンで購入するとその分借金の額も大きくなりますが、トラブルに対応する余力が高まるので、リスクは逆に少なくなります。
今後不動産投資で資産を増やそうと考えているかたには、ローンを早期に返済するよりも、ローンを使って事業を拡大する方法をおすすめします。
まとめ
頭金なしではじめられるワンルームマンション投資。
巷で言われているように必ず失敗する投資でもありません。
融資が使えるのであれば積極的に活用したい投資法でもあります。
しかし成功するには、
- 物件の適正価格を見極める
- キャッシュフローがプラスになる物件を購入する
- いざというときのキャッシュは準備しておく、次の融資にも役立つ
- 規模を追求してリスクを分散する
などが必要であるとご理解いただけたでしょう。
コメント