火災保険の特約「電気的・機械的事故特約」の事故判断は?適用・非適用の具体例をご紹介

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火災保険に加入することで想定外の事故による出費をカバーでき、アパート経営にはプラスとなります。
火災保険の内容をしっかり確認すると、建物の事故による出費に対しては補償されるケースが多々あります。

今回ご紹介する「電気的・機械的事故特約」もぜひ加入しておきたい保険の一種です。

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電気的・機械的事故特約とは?

通常の火災保険は外部的な要因による事故(火災、水災、風災など)を補償します。
しかし内部的な要因による事故(ショート、折損など)は補償されません。
電気的・機械的事故特約は内部的な要因による事故をカバーする特約なのです。

以下で詳しく説明します。

火災保険の補償範囲との違い

電気的・機械的事故特約の補償対象となる設備は以下のようなものです。

  • 照明(電気設備)
  • 太陽光発電(電気設備)
  • 受水槽(機械設備)
  • エレベーター(機械設備)
  • 機械式立体駐車場(機械設備)

上記以外も色々ありますが、詳しくは東京海上日動損保ジャパン日本興亜を参考にしてください。
どの保険会社も基本的には変わりません。

これら電気設備や機械設備は、火災保険の適用条件となる外部からの事故(火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹災、水災等)で故障した場合は当然補償されます。
しかし外部からの原因ではない事故で故障した場合は火災保険の補償範囲外となり、突発的に費用が必要となってしまいます。

火災保険の補償範囲は以下の記事でも詳しく説明していますので参照してください。

参考記事:火災保険を有効に使っていますか?私が使った実例を紹介します。

特約で補償される事故原因は?

火災保険で補償される範囲は外部からの要因に限られていましたが、電気的・機械的事故特約では以下のような事故原因の場合に補償されます。

  • 過電流やショート・スパークなどの電気的事故
  • 折損などの機械的事故
  • 不測かつ突発的な外来の事故に直接起因しない電気的・機械的事故による損害

ただし以下のような事故原因の場合には補償されません。

  • 自然の消耗、劣化等による損害
  • 製造者または販売者が保証している期間の故障
  • 消耗品や付属部品の交換

追加となる保険料の目安

「電気的・機械的事故特約」は火災保険の特約として付加する保険であり、単独では加入できません。
特約を付加した場合の火災保険料は物件の大きさや場所にもよりますが、概ね火災保険の2割増というイメージです。

また保険会社によっては条件により付加できないこともあります。

  • 途中からの付加はできない
  • ある一定年数が経過した建物については付加できない

など。

途中から付加できない場合は一旦解約して再度加入するという方法もあります。
追加の保険料はそんなに高額ではありませんので、ぜひ付加しておきたい特約の一つです。

事故例

火災保険に加入して1年ほどになりますが、該当するようなトラブルが2件発生しました。
1件は適用されましたがもう1件は適用されませんでした。

エアコン故障【適用】

私の所有しているマンションでは室内にエアコンを設備として提供しています。
そのマンションの入居者より、突然エアコンの電源が入らなくなったという連絡があり管理会社へ調査をお願いしました。
管理会社より手配された業者が確認したところ、特に原因らしいものは見当たりませんでした。

そのエアコンはマンション新築時に設置したもので結構な年数が経過していましたが、原因が分からないと経年劣化とみなされてしまいます。
そこで懇意にしている管理会社と相談して、業者からの修理見積書に症状として「電源が入らず。原因不明のため交換。」との文言を入れてもらいました。

当初保険会社からは原因不明のために難色を示されました。
それでも粘り強く交渉して、保険会社の担当者も面倒だと思ったのか、無事保険金がおりることになりました。

冷蔵庫故障【非適用】

別の部屋の入居者より、冷蔵庫の電源が入らなくなったという連絡がありました。
その部屋はワンルームで、小さめの冷蔵庫を設備として設置していました。

冷蔵庫の本体価格は1万円程度なので、修理でも交換でもあまり費用は変わりません。
早々に交換を手配してもらいました。
交換の際にとった写真と見積書を保険会社へ送付したところ、冷蔵庫は設備とみなされないので保険の対象外という回答でした。

その時の判断のポイントは建物にくっついているかでした。

エアコンの場合は工事をして設置するので建物にくっついていると判断されます。
しかし冷蔵庫の場合は置くだけなので、建物にくっついていると判断されません。

コンロも同様です。
キッチンにビルトインされている場合は建物にくっついていると判断され、置くだけのコンロの場合は保険の対象外となります。

おわりに

火災保険は「電気的・機械的事故特約」に限らず、適用の判断にグレーゾーンが多いと感じました。
保険会社としては適用しないほうが自社の利益につながるので、適用しない方向に持っていくことが多いです。
しかし保険会社の判断が全て正しいとは限りませんので、こちらも理論武装して申請し、補償を勝ち取りましょう。

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