スルガ銀行が1兆円の不適切融資ということで株価急落してますね。
かぼちゃショックに続いての新たな話題です。
不適切融資は不動産投資向けと発表されており、そのポイントは大きく3つ。
- 二重売契
- レントロール改ざん
- 架空資産の計上
この記事ではこれらの不適切融資の実態と、今後のオーバーローン戦略を解説します。
手出しなしで不動産投資ができるオーバーローンの魅力
まず初めに認識してもらいたいのが不動産投資を始める時に必要な費用です。
- 物件取得費
- 仲介手数料(物件価格の3%)
- 諸経費(物件価格の3%)
- 不動産取得税(物件価格の2%)
これら全て合わせると、物件価格に加え10%程度余分に費用が必要となります。
銀行から全て融資してもらえば手出しなしで不動産投資をおこなうことができ、それをオーバーローンと言います。
スルガ銀行の不適切融資は、このオーバーローンを出すためにおこなわれていました。
不適切融資の方法
オーバーローンを出すためにおこなわれた3つの手法
- 二重売契
- レントロールの改ざん
- 架空資産の計上
これらは不動産仲介業者(買主も関与している場合もあり)が不適切な方法で銀行へ情報提供し、融資を実行させたというのが実態です。
二重売契
不動産の売買をする時には売買契約書を売主と買主で取り交わします。
銀行によってはこの売買契約書を元に融資額を決めるところもあります。
スルガ銀行は行内ルールで物件価格の90%までしか融資しないので、積算評価・収益還元評価で融資可能額が伸びたとしても、上限は物件価格の90%です。
しかしこの売買契約書は売主と買主の合意のもと変更することが可能です。
そこで、銀行には変更前の売買契約書(売値よりも高くした契約書)を提出し、その後、本来の売値に戻した売買契約書を再度結び直すことで銀行からオーバーローンを引き出していました。
その手順は以下の通りです。
- 売値を高くした売買契約書を銀行に提示し、融資の内諾を得る
- 売買契約書の価格を本来の価格に戻して再度契約を巻き直す
- 銀行にはそのことを伝えない
- 本来は90%までの融資がルールだが、実質はオーバーローンができる
あくまでも評価が出る物件に限られた話しですが、最初に提示する売値を高くすることで諸経費以上のオーバーローンを獲得することも可能です。
ここでの資金を次の物件取得時に活用することで、更に規模を拡大することもできます。
レントロール改ざん
銀行が不動産を評価する場合、積算評価と収益還元評価があります。
収益還元評価の場合はレントロールによって融資額が変わってくるので、満室に見せかけたり、賃料を高めに見せかけることで、満額の融資を実行させます。
銀行へ提出するレントロールは不動産仲介業者(もしくは買主)が作った資料ですので、その裏付けとなるものは特に必要ありません。
ただし実際に物件を見に行く銀行もあるため、空室と見せかけないようにカーテンをかけたり、電気を通したりすることがあります。
架空資産の計上
銀行が融資を判断する条件として、借り手にどのくらいの資産があるのかを確認します。
年収が多いのに預金が少ない場合、借り手の資金管理能力が疑われて、融資が実行されない場合があります。
また逆に年収が少なくても預金額が多い場合、貸付資金をある程度担保できると判断して融資が実行される場合があります。
いずれにせよ、現金があると融資が出やすくなるというのは真実です。
そのため、現金がないのにあるように見せかける手段がいくつかあります。
- 親戚、友人、あるいは業者からお金を借りてきて資産があるように見せかける
- 預金通帳のコピーを改ざんして、多くの資産があるように見せかける
銀行によっては本物の通帳の提出が義務づけられていたり、ネットバンクであれば目の前でログインして確認しなければならないというルールがありました。
これがスルガ銀行では通帳のコピーの提出でよかったため、そのコピーを改ざんする業者や買主がいました。
そうして多くの融資を引き出したり、金利を安くしたりしていたのです。
今後のオーバーローン戦略は?
銀行はこれらの不適切な行為をチェックして融資実行の判断をおこなっています。
しかし今回の事件は、銀行がこれらの事実を知っていながらも黙認していた、あるいは示唆していたことです。
スルガ銀行に限らず、これらの行為がおこなわれていることは不動産業界では周知の事実でした。
しかし各銀行で改めて調査がおこなわれることで、今後の融資は非常に厳しいものになってくることが予想されます。
オーバーローンは今後は無理なのでしょうか?
これまでのように実績のないサラリーマンでもオーバーローンが可能というのは無理でしょう。
しかし、アパートオーナーとしての実績を積むと、事業性融資として認める銀行もあります。
最初は頭金1割〜2割は確保する必要がありますが、決算書の黒字を積み重ねていくとオーバーローンを出してくれる金融機関もあります。
これまでと戦略は変わってきますが、不動産投資で規模を拡大していくのは可能です。
自分のステージにあったやり方で進んでいきましょう。
それでもやはり自己資金は極限まで抑えたいもの。
そのような方は自己資金を極限まで抑えたアパート経営のはじめかたも参考にしてみてください。
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