賃貸用ワンルームマンションの火災保険は誰が加入する?【大家と入居者それぞれで加入が必要です】

不動産投資

賃貸用ワンルームマンションの火災保険は誰が加入するのか?

  • 大家さんが火災保険に入っているから入居者は入らなくていいのでは?
  • 入居する時に火災保険に入ってもらえば、大家は火災保険に入らなくていいのでは?

一口に火災保険といっても「誰が加入するのか」「何を補償するのか」によって保険の種類は変わります。
大家さんと入居者では想定するリスクが違うので、火災保険で補償してもらいたい範囲も違います。

そこでこの記事では次のことについてご紹介していきます。

  • 賃貸用ワンルームマンションの火災保険で想定するリスクと補償範囲
  • 賃貸用ワンルームマンションの火災保険と契約者の関係
  • 賃貸用ワンルームマンションの火災保険費用
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賃貸用ワンルームマンションの火災保険が想定するリスクと補償範囲

ワンルームマンションを買った時に加入する火災保険。
しかし内容を正確に把握して加入している人はごくわずかです。
保険会社が提案したいくつかのパターンから「一番安い」か「補償が安心」かの基準で加入している人がほとんどではないでしょうか。

補償内容はあとからでも変更することが可能です。
必要な補償が入っているか、不要な補償が入っていないか改めてチェックしてみましょう。

想定するリスク

火災保険の目的は「リスク回避」です。
不動産投資でトラブルが発生した場合、お金で解決できるものは保険をかけておくことによってリスクを回避できます。

ワンルームマンション投資では次のようなトラブルが想定されます。

リスク説明
建物の破損、汚損外壁や屋上など、建物自体に損害を受ける
建物設備の破損、故障受水槽やエレベーターなど、設備に損害を受ける
部屋の破損、汚損クロスや床など、内装に損害を受ける
部屋設備の破損、故障エアコンや給湯器など、部屋の設備に損害を受ける
他の部屋への損害自室からの水漏れなどで他の部屋へ損害を与える
入居者の死亡室内で死亡事故が発生して復旧作業が必要になる
事故による家賃損失建物が損害を受け部屋の復旧が必要になり、家賃の損失が発生する

リスクに対応する補償範囲

賃貸用ワンルームマンション向けの火災保険は10数社から提供されています。
保険会社によっても名称やラインナップが異なりますが、概ね次のような補償を備えているものが提供されています。

火災保険補償内容
建物、建物附属設備建物や建物附属設備の突発的な損害を補償
建物管理賠償責任建物や建物附属設備の不備による他人や物への損害を補償
家財賃貸物件の損害により被害を受けた入居者の家財を補償
借家人賠償責任入居している部屋や他の部屋に損害を与えた場合の被害を補償
家主費用特約部屋で死亡事故が発生した場合の復旧費用、空室期間の家賃を補償
家賃収入特約部屋が災害により損害を受けた場合の家賃の損失を補償

賃貸用ワンルームマンションの火災保険と契約者の関係

賃貸用ワンルームマンション(区分マンション)はマンション全体で共有している「共有部分」とマンション所有者が権利を持つ「専有部分」に分かれます。

また、空室の時と入居者がいる時でどのような補償が必要かを考えなければなりません。

マンションの共用部分と専有部分は火災保険が異なる

共用部分とは、エントランスや共用廊下、屋上などの建物部分を指します。
さらにエレベーターや電気、給排水などの設備もマンション全体で共有しているため共用設備となります。

専有部分は部屋の壁や床、天井など、居住空間のことを指します。
また部屋ごとに設置されている給湯器やインターホンなども専有部分の設備です。

注意が必要なのがバルコニー、玄関ドア、窓ガラスです。
これらは専用使用権付共用部分と呼ばれています。
居住者が独占的に使用できるものですが、マンションの共用部分にあたります。
どこまでが共用部分にあたるのかはマンションによっても異なります。
正確に把握するにはマンション管理組合の規約を確認してください。

専用使用権付共用部分で突発的な破損、汚損などが発生した場合はマンション管理組合の火災保険で補償されます。
しかし居住者の過失による場合だとマンション管理組合の火災保険では補償されないので、自身の火災保険で補償します。

大家と入居者で補償範囲が重複することも

賃貸用ワンルームマンションの火災保険は次の3者が契約者になります。

  • マンション管理組合
  • 大家
  • 入居者

それぞれで加入する火災保険は補償する範囲が異なります。

保険契約者補償範囲
マンション管理組合建物と建物附属設備
マンションオーナー部屋と部屋設備、他の部屋への損害
入居者家財、部屋と部屋設備、他の部屋への損害

マンション管理組合の火災保険は建物と建物附属設備に関するものなので、他の補償とは重複しません。
しかし大家と入居者の火災保険は部屋に関する補償であるため、補償の範囲が一部重複してしまいます。

契約者と補償範囲の対応表

賃貸用ワンルームマンションの火災保険は「共用部分と専用部分」「空室時と入居時」で補償の範囲が異なります。

まとめると次のとおり。

タイミング保険契約者共用部分専有部分その他
建物建物設備部屋内部部屋設備家財他の部屋
空室時マンション管理組合
マンションオーナー
入居時マンション管理組合
マンションオーナー
入居者

補償の切り分けでトラブルも

入居した時に大家の保険を解約し、火災保険のコストを下げるという考え方もあります。
しかし事故が発生した時、入居者の火災保険が必ず使えるかというと確実ではありません。

例えば温水洗浄便座が故障して漏水が発生し階下の部屋へ損害を与えた場合、入居者からすると設備の不備です。
そのため入居者の保険を使って補償することは難しく、大家が補償することになります。

逆に入居者の過失で温水洗浄便座を破損して漏水が発生した場合、入居者が補償することになります。
その場合は入居者の火災保険を使えばよいのです。

責任の分担が明確にならない場合もあるので、大家と入居者、それぞれで火災保険に加入するのが望ましいでしょう。

賃貸用ワンルームマンションの火災保険費用

賃貸用ワンルームマンションの火災保険、どのくらいの費用が必要でしょうか。
大家の火災保険と入居者の火災保険、それぞれ見ていきましょう。

大家の火災保険費用

大家の火災保険は「建物、建物附属設備」が主契約になり、必要であればその他の特約を組み合わせることが一般的です。

ワンルームマンションの場合、エントランスや共用廊下、屋上などは共用部分となり、破損や汚損した場合はマンション管理組合で修繕します。
つまり大家が直接費用負担することはありません。

では大家の火災保険が補償するところはというと、専有部分(部屋の壁や床、天井などの居住空間)と付属する設備(エアコンや給湯器など)が対象になります。

通常の火災保険は突発的な自然災害や事故による建物の復旧を対象にしていますが、大家特有のリスクを補償する次のような特約もあります。

  • 家賃補償(突発的な自然災害や事故の結果発生する家賃の損失を補償する)
  • 家主費用補償(賃貸住宅内で死亡事故が発生した場合の家賃の損失や復旧費用を補償する)

特約をつけなかった場合の費用としては、年間1万円程度が目安になるでしょう。

入居者の火災保険費用

入居者の火災保険は家財保険借家人賠償責任担保特約個人賠償責任特約の3つを付与することが一般的です。
賃貸用ワンルームマンションに入居する時に加入する火災保険は家財保険が主契約になります。
補償金額によって火災保険の費用が変わりますが、少ないものだと100万円程度から申し込みできます。

入居時に必須となるのが借家人賠償責任担保特約です。
入居者の過失で部屋に損害を与えた場合の保険で、内装費用や設備の損壊などに適用されます。

個人賠償責任特約は入居者が所有・管理するもの以外に被害を与えた場合の補償です。

火災保険の費用としては借家人賠償責任担保特約個人賠償責任特約を付与し、家財保険を100万円程度とすれば、賃貸アパートの火災保険でご紹介したとおり年額4千円程度で加入できます。

賃貸用ワンルームマンションの火災保険まとめ

賃貸用ワンルームマンションで必要となる火災保険についてご紹介しました。
賃貸用ワンルームマンションにおける火災保険の注意点をまとめると次のとおりです。

  • 共用部分(建物や建物附属設備)はマンション管理組合で補償
  • マンションによっては共用部分の規定が異なる場合があるので規約の確認が必要
  • 大家と入居者は補償が一部重なるが、トラブル回避のため加入は必要

火災保険における必要な補償を適切に選んで、ワンルームマンション投資のリスクを最小限に抑えましょう。

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