アパート経営の経費にはどのようなものがあるの?確定申告を黒字化するためのポイントを解説

不動産投資
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アパートを維持するための経費にはどのようなものがあるのでしょうか?

通常の事業とは異なり、アパート経営は売上と経費が大きく変動しないので収支の見通しが立てやすいと言えます。

通常の事業での経費は次のものがあります。

  • 売上原価
  • 販売費及び一般管理費
  • 営業外費用

一方、アパート経営(不動産賃貸業)では仕入れが発生しないので「売上原価」はありません。
発生するのは次の経費です。

  • 販売費及び一般管理費
  • 営業外費用

収支の見通しを立てるにあたっては、アパートの経費を固定的な経費変動的な経費に分けて考えることが重要です。

それでは経費について詳しく見ていきましょう。

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固定的な経費

アパート経営では以下のものが固定的な経費となり、毎月・毎年ほぼ決まった額の支出が計上されます。

  • 管理会社への報酬
  • 建物管理(主に清掃費用)
  • 水道、光熱費
  • 固定資産税

不動産投資をする際の実質利回りを計算する時に使う数字です。
分からなければ事前に売主へ確認しましょう。

管理会社への報酬

アパート経営をおこなっていく上で、入居者対応や空室募集業務は不動産管理会社へ依頼している場合がほとんどだと思います。
PM(プロパティマネジメント)費と言い、家賃収入の3%〜5%が世間の相場です。

自主管理しているのであれば不要ですが、24時間自分が受付をしなくてもいいと考えると必須の経費だと言えます。

建物管理(主に清掃費用)

建物の清掃費用は毎月コンスタントにかかってくる経費です。
BM(ビルマネジメント)費と言い、建物の規模にもよりますが1棟あたり月1万円〜3万円程度が相場です。

自分で掃除をおこなうのであれば不要ですが、物件が遠方にある場合や、自分の時間が都合できない場合などは依頼する必要があります。

水道光熱費

建物の共用部で使用する電気代や水道料金の支払いです。
アパートの大きさや付属している設備にもよりますが、1棟あたりの費用の目安は次のとおりです。

  • 電灯で月1千円〜3千円
  • 受水槽で月6千円〜1.3万円
  • エレベーターで月3千円
  • 機械式駐車場で月3千円
  • 共用水栓で月2千円

詳細な内訳は次の記事で紹介しています。

→ アパートの水道光熱費は適正ですか?その内訳とコスト削減方法

通信費

アパートでインターネットやケーブルテレビを提供している場合に必要となる経費です。

入居者に無料で提供している場合はそのまま経費になるだけですが、入居者に有料で提供している場合もあります。その場合には入居者から徴収した料金は収入として売上へ計上します。

私のアパートでは無料でインターネットを提供しており、月々1.5万円〜2万円の経費が発生しています。

定期点検

建物の中には定期的に点検が必要な設備があります。

  • 消防設備
  • 受水槽
  • エレベーター
  • 立体駐車場

など。
特に機械式の設備は定期的に点検しないと突然不具合が発生して多額の費用が発生してしまいます。

固定資産税

建物と土地には毎年固定資産税が課税されます。

支払いは年4回で、課税額は期初に決まります。

修繕積立金

区分マンションに不動産投資をしている場合は、毎月の管理費の他に修繕積立金が徴収されます。
これは大規模修繕のための資金を事前に積み立てておくための仕組みで、一棟アパートでは存在しない経費です。

もちろん、一棟アパートでも修繕のために自分で積み立てをおこなっている方もいるでしょう。
しかし自分で積み立てている場合は経費とはなりませんが、使途が明確に決められているマンションの修繕積立金は経費にできるというメリットがあります。

火災保険料、地震保険料

建物の火災保険料や地震保険料は長期一括割引があるので、5年や10年の一括で払い込むかたが多いでしょう。
しかし支払った年で経費を一括計上するのではなく、毎年均等に計上しなければなりません。

最初に不動産を購入した時、火災保険の保険料にびっくりしました。
おおよそ物件価格の1%くらいだったでしょうか。
10年の一括払いだったからというのもありますが、それなりの出費になります。

その時はできるだけ条件や特約を少なくして保険料を下げましたが、あとあと色々経験していくと、それは間違っていることが分かりました。

火災保険は火災のときにだけ使うのではなく、色々使えることが分かったのです。
建物の破損、備品の破損、雨漏りの被害など。
それが分かってからというもの、できるだけ条件を多くし特約も追加して火災保険の条件を変更しました。

アパートの火災保険をしっかり理解して修繕費に役立てましょう。

減価償却

実際の支出(キャッシュアウト)は買ったときに一括で発生するが、経費で計上できるのは毎年決められた金額だけという特殊な経費です。
買ったときにはいったん事業の資産として計上します。
その後毎年経費を計上し、計上した分は資産から減らしていきます。

よくあるのが建物や車両です。

アパート経営で大きな割合を占める建物の減価償却。
建物割合を多くすると経費を多く計上でき、建物割合を少なくすると経費を少なく計上できます。
購入時の土地と建物の割合をうまく調整しましょう。

→ アパート経営に必須の知識。減価償却で節税して手元にキャッシュを残す方法

次に大きな割合を占めるのが車両です。
買い方によってはほぼ一括での経費計上も可能なので必須の知識です。

→ アパート経営で使う車は減価償却費で経費計上|中古のベンツは4年落ちがいいのは本当か?

変動的な経費

固定的な経費以外にも突発的・不定期に必要となる経費があります。

それを変動的な経費として見ていきます。

事業活動による経費

物件や管理会社、空室募集のための仲介会社への訪問が不定期に発生します。

その際に必要となる経費として

  • 通信費(自分の携帯電話やインターネット利用料)
  • 交通費
  • 宿泊費
  • お土産代

などが経費となります。

車を利用する場合には

  • ガソリン代
  • 有料道路の利用料金

も経費です。

また、管理のための事務作業も必要となりますので、

  • ノートやペンなどの備品購入代
  • パソコンやその周辺機器の購入費
  • ソフトウェアの購入費、年間費用

なども経費として計上します。

その他、事業に関する知識や人脈を広げるため、

  • 新聞や書籍
  • セミナー料金
  • 懇親会費用

についても同様に経費です。

修繕費

建物が破損した場合の修繕費用、入退去時の原状回復費用は不定期に発生します。
これらは修繕費として経費に計上します。

修繕費としてよく計上するのが次のものです。

  • エアコン
  • 給湯器
  • 水回りの修繕

修繕費の詳しい内容についてはこちらの記事でも紹介しています。

→ アパート修繕費の目安と儲けを出すための戦略

ただし資産価値を向上させる支出の場合は経費とすることはできません
いったん資産として計上したのちに、毎年一定額を減価償却することになるため注意が必要です。

一括で経費計上できるのか資産計上しなければならないのかは修繕の目的で変わります。
次の記事で詳しく紹介していますので参考にしてください。

営業外費用

アパート経営は金融機関から融資(ローン)を受けて始めることが多いと思いますが、その金融機関への毎月の返済には元本と利子があります。

元本の返済は経費とはなりませんが、利子の返済は経費となります。

土地の取得費用についても利子は経費となりますが、決算が赤字の場合には土地の利子は経費に計上できません

アパート経営の経費率はどのくらい?

アパート経営をやったことがないと実際にどのくらいの経費が必要かが分からないので不安ですよね?
私の2018年の実績を紹介した記事があるのでご紹介します。

一般的には25%の経費率が妥当ではないかという話しが多く出ます。
当たらずしも遠からずで、平均値としては間違ってないのでしょう。

しかし経費率は下回るぶんには問題ないですが上回ると大変です。
アパート経営では突発的な事故が起こるので、ある年は経費率を下回るがある年は上回るということは十分に考えられます。

購入判断時には経費率を平均値で考えてもいいのでしょうが、実際の運営では10%くらいは多めに見積もって資金計画を立てておく必要があります。

実際にはそれより前後しますが、アパート修繕費の目安と儲けを出すための工夫を知っていればあまり恐れることはありません。

経費の支払いはクレジットカードがお得

経費は銀行振込や家賃と相殺で支払うことが多いのですが、電気料金や水道料金はクレジットカードで支払うこともできます。

1棟だとそれほどでもないのですが、複数棟を支払うと月に5万円〜10万円になります。
それをクレジットカードで支払うとポイント(マイル)がたまるので、ぜひやっておきたいテクニックですね。

固定資産税をクレジットカードで払うと更に高額になります。
しかしクレジットカード払いだと領収書が手に入りません。
確定申告や決算時に領収書が必要なので私はおこなっていませんが、工夫するとよい方法があるかもしれません。

もう少し検討してみます。

「アパート経営の経費について」まとめ

アパート経営を有利に進めるには経費を把握し、利益を残すことです。

利益が出る企業には融資がつきやすくなり、更に有利な条件で借り換えや追加の融資を受けることができるようになります。
そうすると更に経費の低減がはかれ、経営が安定してくるという好循環が望めます。

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